トレーニングが認知機能障害やリハビリに役立つことが判明

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頭脳の明晰さとトレーニング2

認知機能の低下することを我々は恐れる。
認知機能とは、記憶、学習、知覚、思考、判断、つまり、見る、覚える、学ぶ、考える、決める、
というような知的な働きのことである。
頭のトレーニングをして鍛錬することが認知機能を鍛錬するというのは納得がいくだろうが、
肉体的な運動がなぜ頭を明晰に保つために良い効果をもたらすのかは、
おそらくはっきりと分からないのではないだろうか。

肉体的な運動と病気との関連を裏付ける研究はたくさんある。
運動や活動的なライフスタイルは、病気の予防などに役に立つ。
運動によって、心血管疾患、2型糖尿病、大腸がん、乳がん、骨粗鬆症のリスクの下がることが分かっている。
そして、心血管疾患、糖尿病、がん、などは認知機能の低下を伴う。
運動は、認知機能の低下する病気になりにくくするため、認知機能を維持してくれる。
しかし、それだけではない。
フィットネストレーニング自体が脳の構造に変化をもたらしたりすることも分かってきている。
しかも、脳にダメージを受けて生じた記憶や学習などの認知機能障害へのリハビリにも、
運動が役に立つことが判明してきている(1)。
動物を使った研究からはもっとよく分かってきている。動物は変化に富む複雑な環境にいると、
脳の構成物(脳神経の樹状突起とシナプス、グリア細胞)が新たに増え、脳の毛細血管のネットワークが広がる。
また、脳を保護し発達させるBDNF(brain-derived neurotrophic factor:脳由来神経栄養因子)
という分子を増やすなどの変化も生じる。
「変化」、つまり新しい経験を受け入れるということが認知機能の維持に役に立つのだと思う。
そして、思考の必要な活動、定期的な運動、他人との人付き合いのある状況、前向きの姿勢など、
あなたの普段行っていることそのものが、年をとってからの頭の冴えに少なからず影響を及ぼす。
うつ状態、不安、怒りなどのネガティブな感情から生じる慢性の心理的苦痛は、
認知機能の低下を生じることが分かってきている。
年をとってからの認知機能低下を治療する薬は今のところ存在しない。
予防をして、頭の冴えを維持することが非常に重要なのである。
みなさんなら、どうしたらよいかお分かりになるかもしれない。

(1)Lojovich JM.(2010) The relationship between aerobic exercise and cognition:
      is movement medicinal? Head Trauma Rehabil. 25(3):184-92.

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